【こんな症例も治りますシリーズ 685】 『 犬の上皮向性リンパ腫 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、ワンちゃんの腹部の皮膚に出来た『 上皮向性リンパ腫 』の治療効果を示したものです。

■ の黄色の矢印は、『治療前』の皮膚疾患部位です。

■ の黄色の矢印は、『治療後』の皮膚疾患部位です。 患部の色が薄くなっています。

 

 

犬 ビーグル犬 8歳7ヶ月 メス(避妊手術済み)

 

 

【 腹部に皮膚炎ができた 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 下腹部の被毛の薄い部分に、円形状に発赤した皮膚炎ができていました。

 

 

 

■ 皮膚検査で『 マラセチア 』というカビが検出されたため、消毒や薬用シャンプーを処方しましたが、あまり良くならず、さらに抗生剤も処方したところ若干の改善傾向は見られましたが、通常の皮膚炎のように治癒しませんでした。

 

 

 

■ さらに下顎の口唇粘膜にしこりも見られ、細胞診をしましたが腫瘍の疑いがありましたので、腹部の皮膚も合わせて切除組織生検をしました。

 

 

 

■■ 病理組織検査の結果は、口唇部も腹部の皮膚炎も『 上皮向性リンパ腫 』という悪性腫瘍でした。

 

 

 

◆◆ 上皮向リンパ腫は皮膚型リンパ腫で粘膜、有毛部に発生します。 口唇や口腔粘膜にできることも多いようです。

 

 

 

■ 有毛部では初めは皮膚炎のように見え、そのうちにカサブタ病変を形成し、浸潤性腫瘤に進行していきます。 この状態になるとリンパ節転移を起こし予後は厳しくなります。

 

 

 

 

■ 皮膚炎治療に反応が薄い場合は、早めに組織生検をお勧めいたします。

 

 

 

 

■ 通常は局所麻酔で切除可能で、1〜2糸で縫合します。

 

 

★★ このワンちゃんは肛門にも病変があり、抗がん剤を始めたところです。

 

 

 

少しでも進行を食い止められたらと願っております。

 

 

 

 

獣医師 新井澄枝

 

Page Top